灸を据える

お灸をすることを「灸を据(す)える」と言いますが、この「据える」という言葉は「ものを動かないように固定する」という意味から、艾(もぐさ)を固めて体に置くという行為に使われるようになったのでしょうか。

もちろんお灸で治療することを「灸を据える」というわけですが、現在「灸を据える」という言葉は治療という意味よりも「悪いことをした人を懲らしめる」という意味で使われることが多いようです。

鎌倉時代の文献にお灸が罰として使われていたという記述を見たような気がします(曖昧ですいません)。お灸が体罰に用いられてきた歴史は非常に長いのでしょう。

年配の方から、子供のころ「お灸を据えてやろうか」と叱られたという話を伺うことがあります。

何とか「お灸を据える」という言葉を「罰>治療」から「罰<治療」、としたいものですが、私が患者さんにお灸をするときも「据える」という言葉は避けて、「お灸しますねえ~」などといったりしています。「お灸、据えますねえ~」とは言いません。

私も「お灸を据える」という言葉に罰という意味を強く感じていからです。

どうか皆さん、お灸を「罰」として使わないでください。

もも鍼灸院
東京都江東区毛利2-9-18グリーンパーク錦糸町102
TEL・FAX:03-3634-7220
住吉駅徒歩7分 錦糸町駅徒歩11分
http://momocli.jp

お灸について その4

最近家庭で使われているお灸はホンワカ温かいものが主流になっているという話をしました。

家庭で行う場合は「安全であること」や「苦痛が少ないこと」というのがかなり優先される条件になると思いますので、ある意味当然のことなのかなあと思います。

当治療院でも温かいお灸も用いますが、小さな焼跡を残すようなツンとするようなお灸も行います。

当院では「鍼(はり)」での治療を主として行っています。

ですので灸は鍼を補うもの、鍼では変化しにくい体の状態、問題が大きい場合にお灸を用いますので、時にはちょっときついと感じる治療となることもあります。もちろん熱いのが嫌であればおっしゃってください。

皮膚にお灸の焼跡を残すことは、お灸をしたときの刺激だけではなく、刺激を持続させる効果もあります。

お灸の変わった使い方としては、傷口に貼るということも行います。もぐさは止血効果殺菌効果もあり、傷口の治りが早くなるようです。

他には皮膚が荒れていて乾燥しているような場所に、指頭大に固めた艾(もぐさ)を置き、点火して熱感を感じたら取り除くということを何度か繰り返すと皮膚の荒れの改善が期待できます。

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お灸について その3

皮切り」の続き。

手始めと言う意味の「皮切り」の語源は、「初めに据えるお灸は皮を切るような痛みがあること」から、と言う話でした。

最近販売されている家庭用のお灸は、それほど強い熱さもなく、火傷もしにくいように工夫されています。

また近頃は鍼灸院などでもお灸の跡が残るのを嫌がる方のために、隔物灸お灸について その2)を使っているところも多いようです。

ホンワカ温かいお灸は他にも、体に刺した鍼のてっぺんに艾をボール状にくっつけて輻射熱で温める「灸頭鍼」や、金網で上下を区切った箱の上の部分に艾を入れて点火し、箱をお腹の上などに置いて、金網を通して熱を伝える「箱灸」、棒状に固めた艾の尖端に点火し、その燃えている尖端を皮膚に近づける「棒灸」などがあります。

では「皮を切るような痛み」のお灸とはどんなものかといいますと、厳密にはどんなお灸を指しているのかは分かりませんが、オーソドックスなものは米粒大、またはその半分くらいの大きさの円錐状(道路のコーンのような形)に艾を整形し、それを直接ツボに置いて、先端に火をつけ最後まで燃やし切るものです。

しかし治療をさせていただく側から言わせていただくと、「皮を切るような痛み」という表現には違和感があり、的確なツボに施したお灸は、もちろん熱さはありますが、「皮を切るような」という表面的な感覚ではなく、ツーンと深く入るような感覚を覚えるものです。いわゆる「効くー!」という感覚です。

つづく

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お灸について その2

先日、「最初に、手始めに」などの意味の「カワキリ=皮切り」という言葉の漢字がどうだったか調べていたところ、語源として最初に据(す)える灸のこと、最初の灸は皮を切られるような痛みを感じることから、とありました。

最近は「お灸女子」などという言葉があるように、自分で据えるお灸がブームになっているようで、家庭でも簡単にできるお灸がよく売れているそうです。そのような商品を使っている方は「皮を切るような痛み」と言われてもピンと来ないかもしれません。

家庭用に販売されているお灸は台座の上に艾(もぐさ=ヨモギから作ったお灸の材料)が乗っていて、その台座が皮膚に貼り付けられるようになってるものが多いのではないでしょうか。

これはお灸用語(?)で「隔物灸(かくぶつきゅう)」と言われています。隔物(かくぶつ)とは(もぐさ)と皮膚を隔てる物と言う意味で、この隔物はお灸の熱さを緩和する効果や、火傷をしにくくする効果を狙っています。また隔物の種類によっては、例えばスライスしたニンニクや、琵琶の葉など、熱の効果の他に薬効を狙ったものもあります。

ですので「お灸女子」はお灸と言えば「ホンワカ温かいもの」という印象があるのではないでしょうか。

つづく

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お灸について その1

だいたい昼食はタッパーにご飯とおかずを詰めてお弁当にして治療院で温めて食べているのですが、以前は弁当を温めるとサラダや漬物も一緒に温まってしまい嫌だなあと思っていました。

ところがどうも最近はほんのり温まって、しなっとしたサラダや漬物を食べるとホッとするようになってきました。年齢のせいでしょうか。

近頃のお気に入りは「レタスのしなっとした奴」で、温まって発する豆のような香りが食欲をそそります。

レタスはキク科の植物なのですが、鍼灸師がキク科と聞くと最初に頭に浮かぶのはヨモギでしょうか。

お灸に使う艾(もぐさ)はヨモギの葉の裏に密生している毛から作られていて、夾雑物が少ないほど高級とされています。

夾雑物が少ないほど燃やした時の温度は低くほんのりとして、逆に夾雑物が多いほど燃焼温度は高くなります。

高級な艾(もぐさ)ほど治療効果が高いというわけではなく患者さんの状態や、お灸をするツボ、お灸の使い方によって、適したものを使います。

艾は日本産だけでなく韓国や中国からも輸入されていて、ヨモギは野生のものや、栽培したものなどいろいろあるそうです。

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